本専攻では、研究と教育を通じて海洋技術の産業化と専門人材の輩出で社会経済に貢献し、また科学・技術に立脚した政策の立案と実行を支えることで、人類と海洋のよりよい関係を築き上げることを目標にしています。
海洋は、地球表面の7割を占める表層での熱・運動量、水蒸気・二酸化炭素など気体(物質)のやり取りを通じて、また何千メートルもの深層における地球規模の海水の大循環によって気候に影響を与えています。またプランクトンからクジラまで豊富な多様性をもつ生物の宝庫である海洋は、食物の他にも、鉱物・化石燃料と再生可能エネルギーの巨大な供給源です。そして、膨大な物資の通り道としても利用されています。
しかし、一部の沿岸域を除いて、広大な海洋のほとんどで専門家以外がアクセスを試みることはありませんし、特に極域や深海ともなれば、たやすく進入を跳ね返されるでしょう。逆に、海洋をよりよく知り、上手に利用するための高度な知識や技術があれば、海洋のすみずみで豊かさを享受することが、また未踏の領域へと踏み込んでその深遠な世界を覗き見ることができるでしょう。本専攻では、海中ロボットやIoTを活用した海洋観測、数値解析モデルやデータ科学を駆使した海洋環境評価、総合工学的アプローチでの海洋再生可能エネルギー利用や超大深度資源開発、自律・無人化システムなどに関わる研究開発が進められています。
また、私たちの生活や経済にとって、人類の持続的な発展にとって大切な場所だと分かっていても、卑しく資源をむさぼり、分別なく足を踏み入れれば、水産資源の減少や環境汚染などの問題を引き起こし、地球の生態系のみならず、人類の未来を破壊しかねません。ここにおいて、海洋の利用・開発と保全の調和を実現させるための啓発や政策展開が重要だということが分かります。国際的・学際的な共同研究・教育プロジェクトや地域社会との協創的活動を通じ、俯瞰的視座からの課題認識や社会実装における利害関係の調整、合意形成の重要性を意識しています。
上述した目標のもと、本専攻の教職員は海洋・環境技術の分野での先進的研究・活動を主導・支援しています。また本専攻の教育課程を経て主体的に考え、協調してものごとを進める力を身に着けた卒業生は様々な分野で活躍しています。本専攻の教育・研究に共感と関心を持っていただける皆さんとの連携、そして、目標に向けてともに学び、挑戦していただける皆さんの進学・入学をお待ちしております。
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東京大学大学院新領域創成科学研究科
海洋技術環境学専攻
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