学生・若手研究者受賞研究紹介
地球温暖化対策としてカーボンニュートラルなバイオマスエネルギーに注目が集まっている一方、その原料となる穀物の価格高騰などが新たな問題として浮上している。そこで、食糧と競合せず、木材より効率良くエネルギーを生産できる海藻を利用するという提案がなされている。
本研究では、我が国の海湾内及び沖合の経済水域内において海藻を養殖し、バイオマスエネルギーとして直接燃焼による火力発電に利用した場合の、発電量、CO2削減量及び養殖・輸送コストを計算した。さらに、木質バイオマスと比較し、そのコスト・経済性の評価を行った。
その結果、木質バイオマスと比較し、海産バイオマスによるCO2削減ポテンシャルは非常に高く、コストも小さいことが分かった。また、その直接燃焼による発電量は、年間約4710億 kWhにまで及ぶ。低コスト海域から優先的に養殖し、できるだけ低コストで多くのCO2を削減できるように計画することが重要であるが、養殖の計画に当たっては漁業や船舶の通航の妨げにならないよう配慮が必要である。また、海藻が多く生産される海域は栄養塩が豊富なため漁業も盛んである可能性があり、漁業関係者との調整が必要である。
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東京大学大学院新領域創成科学研究科
海洋技術環境学専攻
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